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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)73号 判決 1949年6月29日

被告人

片山常次郞

主文

本件控訴を棄却する。

理由

原判決が所論の公訴犯罪事実を認定するに当り櫻井傑の司法警察員に対する第一回及び第二回供述調書の各記載その他の証拠を挙示援用しておることは所論の通りである、而して原審におけるこれが証拠調につき檢するに公判調書には被告人片山常次郞の本件賍物故買の犯罪事実(原判決の第三事実)の証拠として檢察官の請求により被告人櫻井傑の司法警察官に対する第一回供述調書(十七)同後藤栄の司法警察員に対する第一回供述調書、(十八)同櫻井傑の司法警察員に対する第一回供述調書その他の書類につき証拠調が行はれた旨記載されており、又本件記録上原審に提出された証拠書類として右櫻井傑の司法警察員に対する供述調書は前後二通(記録四八丁及び六三丁)あるがいづれも第一回供述調書と題するものである。かくて櫻井傑の右第二回供述調書についてはこれが証拠調の請求もなくその取調もなかつたかのように見えるのであるが本件記録中の右提出に係る同供述調書二通は明らかにその内容において互に相異る別個のものであり他方同じく前記公判調書に窃盜本犯である相被告人櫻井傑、後藤栄

前略

次に被告人片山常五郞の前科調書については原審公判調書を閲するもその証拠調が施行されたことを認めることができないのは所論の通りであるが、前科の事実は刑事訴訟法第三百三十五條第一項の「罪となるべき事実」ではなく必ずしも公判廷で適式な証拠調を経た証拠によつてこれを認定するを要しないものと解すべきである。從て原審が右前科調書をもつて同被告人の所論前科の事実認定の資料に供したことは違法ではない。(この前科は累犯加重となる前科である。刑事局註)

第二点について

被告人片山常次郞の本件各犯罪についてはその後昭和二十三年十二月法律第二百五十一号罰金等臨時措置法の公布実施により行爲時法と原判決時法とが所論の如く該当法條を異にし犯罪後の法律に因り刑の変更があつたので刑法第六條第十條により新旧両法を比照して軽い行爲時法である刑法第二百五十六條第二項を適用すべきであるに拘らず原判決は單に刑法第二百五十六條を適用したのみで右新旧法律の比照をしなかつたのは洵に失当であるが結局原判決は刑法第二百五十六條を適用処断しておるから斯る失当は主文に何等の影響がないことに帰するから論旨は採用に値しない。

以下省略

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